双方にとっていい認知症を実現して

今まで多くの患者さん家族と接してきましたが、高齢の親が認知症になった場合、面倒を見ることが一番多いのは、長男の妻という現実がまだまだあります。

つい誰か一人に負担が偏りがちですが、その状態が続くと介護する側の心身は疲弊してしまう。ですから、家族や同居していない親戚のみなさんなど、できるだけたくさんの人が介護に関わるようにしてほしいのです。

また、デイケアなどの介護サービスも積極的に活用してください。介護者にゆとりがなければ、認知症の方に優しく接することはできません。

そのうえで話し方や接し方を工夫すれば、認知症の症状は落ち着きを取り戻していきます。認知症を患うご本人は、温かく見守ってもらえることで幸せな気持ちになり、嫌なことやつらいことを忘れ、残された時間を穏やかに生きていけるようになるのです。すると、介護者も精神的、肉体的にゆとりが生まれます。

認知症はある意味、長生きの証拠。誰もがなる可能性のある病気です。ですから、認知症の方と介護者の双方にとって好循環を生む、ハッピーな状態になることを願っています。