タイのプーケットって結構田舎なんで、タイ語でないと通じない。それでカミさんが学校に通って、タイ語の読み書きができるようになったんだけど、結局5年半いて、ついこの間引き揚げてきたの。北海道の名寄(なよろ)ってとこへ。

倉本聰さんから電話があって、「とうとう北海道へ来たな」って。彼のいる富良野へは車で二時間くらいかな?

北海道にしたのは、犬たちが自由に動けるようにしたかったから。タイでは基本、犬は放し飼い。ここなら犬も自由に走り回れる。一匹はイタリアングレーハウンドで、名前はピース。もう一匹はタイで拾った、後ろ足がよくたためない子で、名前はニンジャ。タイでは『忍者ハットリくん』の放映以来、忍者ブームだからね。

俺もカミさんも犬たちも、タイで田舎のよさを知ってしまって、今さら都会じゃ暮らせない。それに大きなアトリエも作りたかったからね。

 

そして第3の転機は、「画家」ということになるのだろうか。きれいな色遣いの鳥やケモノの絵や自画像がもう三百点にもなるという。

――タイに行く少し前から、カミさんに絵でも描いてみたら? ってすすめられて。描いてるうちにだんだん面白くなってきた。タイの絵の具を使うと、日本の絵の具とちょっと色合いが違う。スイスのとかドイツのとかともまた違う。今度北海道で絵を描いたらどうなるのか、それも楽しみにしてるんだ。南国からへ移って、果たしてどうなるか? かんごく、ったって網走じゃないからね。(笑)

 

時折、ミッキー亭カーチス師匠の顔がのぞいて、やっぱりチャーミング!!