また、深部体温が急激に下がらないように守り、徐々に外側に向かって熱を伝えているのが、筋肉と脂肪です。筋肉は熱を生む臓器であると同時に、断熱材の役割も担っているわけですね。一方、脂肪は熱を通しにくく冷やすという性質があり、多すぎるとメタボなどのリスクにつながりますが、少なすぎても体温を守れなくなるので、一概に悪者とは言えないのです。

また、直接熱をつくり巡らせるわけではありませんが、自律神経の働きも重要。基礎代謝や褐色脂肪細胞の働きをコントロールしているだけでなく、体温調節の指示をだす脳の視床下部にも影響しています。そのため、自律神経の乱れが体温低下に直結しているとも言えるのです。

さらに、体温の維持や上昇に必要となる甲状腺ホルモンの働きも見逃せません。血液の甲状腺ホルモン濃度が高めの人は代謝が高いため体温が高く、少ない人は代謝が低く冷えやすいという特徴があるのです。

 

高齢者は「低体温症」のリスクも

これらの機能がすべて正常に働いていれば、冷えとは無縁のはず。逆に言うと、若い頃から冷え性の人は、どこかがうまく機能していない可能性があるということです。また、加齢により熱をつくり巡らせる機能が低下するため、高齢者は体が冷えやすくなっているとも言えます。

特に、高齢者が指摘されるのが、筋肉量の減少です。40代以降、急激に減るうえに、男性よりも女性のほうが絶対量が少ない。また、高血圧や動脈硬化、糖尿病などは血管の状態を悪化させるため冷えの大きな原因に。

女性の場合は、血管を守り、自律神経の働きをサポートする女性ホルモンが減少する更年期以降はさらにリスクが高まります。女性に冷え性が多いのはこういった理由が考えられるでしょう。