深い感情は内に秘めておきたい
コロナ禍で自粛生活を送っていた時は、まるまる1ヵ月くらい家から出ずに過ごしていました。とはいえその状況は、僕にとって全然苦じゃなかったんですよね。もともと家にいるのも一人で過ごすのも好きな人間なので。
新たな楽しみを見つけるべく電子ピアノを買ってみたり、料理のモチベーションを上げてくれるようないい器がないかとチェックしたりしながら、それなりに充実した時間を過ごしていました。
僕は自分がシャイな性格であることを自覚していますが、シャイであることと人前で演じることは、僕の中では両立しています。シャイにも種類があるといいますか、僕の場合、言いたいことが言えないという類のものではないんですね。疑問に思ったり、違うなと感じたりした時は、「どういうことですか?」とためらわずに訊くことができます。
苦手なのは、いわゆるなんでもない世間話。たとえば、ドラマ撮影の控え室で出演者の皆さんと一緒になった際の、場の持たせ方がわからないんです。「それほど親しくないのに、こんなしょーもないことを話しかけられても相手が困るよなあ」とかあれこれ考えているうちに、「千葉さーん、出番です!」と呼ばれてしまう。心の中では、めちゃくちゃしゃべっているんですけど……。
一方、たまに相手から話しかけてもらうと、テンパってしゃべりすぎて、「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう」と後から落ち込んだり。要は自己顕示欲の塊ということですね(笑)。だからこそ、この仕事をしているのでしょう。と同時に、より濃度の高い表現をしたいから、深い感情は内に秘めておきたいという思いもあります。本番以外の時に表に出しすぎると、せっかくの感情が壊れてしまうんじゃないか、そんなふうに思うんです。