「続きが読みたいです」と言っていただくことが多いので、今後ちょっと考えてみようかなと思っています(撮影:文藝春秋)

小説が書き上がるまで誰にも言わず

作家の北方謙三さんから、小説を書いてみたらと勧められたことがありました。2018年に北方さんが『チンギス紀』の新シリーズを刊行された際、トークイベントのゲストに呼んでいただいた時の話です。お会いしたのはその時が初めてだったのですが、「自分の人生を書けばいいんだよ」と言ってくださって。なるほど、そうなのかと思ったら、頭の中にこれまで経験したいろいろな出来事が思い浮かんできました。

執筆に取り掛かったのは2019年、コロナ禍に入る少し前です。一人でコツコツ書いていたのですが、2022年の2月頃に現在の担当編集さんにお会いして。そこからは赤ペン先生よろしく、修正したり構成を変えたりというやり取りを10カ月ほどしていました。ずっと誰にも相談できずにいたので、本当に助かりました。

小説を書いていることは、周囲の誰にも言いませんでした。言っちゃうと、絶対にやらなきゃいけなくなりますから(笑)。だからちゃんと完成したら言おうと決めていたのです。

ただTETSUYAにだけは、ゲラの段階で「テッちゃんぽい人も出てくるんだよ」と伝え、読んでもらいました。すごく面白かったと喜んでくれましたね。一番つき合いが長くて、風子さんとの出来事も一緒に体験していたので、その時のことも思い出しながら。「あらためて文字で読むと素敵なストーリーになるね」と感想をくれました。

物語は、賢太たちの夢の途中で終わっています。デビューまで書くと、どうしてもイメージがEXILEと直結して、現実味が強くなってしまいますから。エンタメ小説としてファンタジー性を考慮した場合、あまり自分がいる環境は見えないほうがいいのではと思ったのです。でも取材の際に「続きが読みたいです」と言っていただくことが多いので、今後ちょっと考えてみようかなと思っています。