本来の学校の役割とは?
ある取材で、記者の方から「日野田さんの学校では、入学した生徒に対して何を保証していますか?」とたずねられたことがありました。
たとえば、ある学校は英語力、ある学校は海外進学など、選挙の公約やマニフェストのように「うちの学校に入ればこれを実現します」と、「保証」を通じて、保護者にアピールする学校が多いというのです。そこで、
「うちの学校は何も保証できません。何かを保証してもらいたいがために進学するのなら、選ばないほうが賢明です。自分たちでなんとかする。失敗を重ねてでも、自己選択を繰り返すことこそ、これからの時代に必要です。だからこそ『何も保証しないことを保証したい』」
そう話したら、その記者さんが目を丸くしていました。
私はいわゆる就職氷河期で、就職などについては非常に苦労をさせられました。この記事をお読みのみなさんにも同じような経験をされた方は多いのではないでしょうか。そして自分でもがき、苦労したことで、多くのものを得られたということも実感されていると思います。
だからこそ、将来を担う子どもたちには若いうちに失敗してそこから学ぶ経験を積んでほしい。本来学校とは「きっかけと可能性を広げる場所」であると私は考えています。
『東大よりも世界に近い学校』(著:日野田直彦/TAC出版)
今や「日本で一番学校説明会に人が集まる」と言われる学校で校長を務める日野田直彦氏。定員割れで予備校が出す偏差値が「判定不能」、9年で5人も校長が交代する倒産寸前の状態からV字回復し、学校説明会には毎年のべ1万人以上もの親子が参加するように。「塾なし、海外経験なし、経済力なし」の生徒を海外大学に多数進学させ、海外の有名大学が「日野田の教え子が欲しい」とわざわざ駆けつけるほど。 そんな学校の生徒は「言わなくても勝手に勉強する」「授業にダメ出しする」さらには「学校説明会をジャック」……。いま注目すべき校長先生が日々子どもたちに伝えていること、そして子どもたちが生き抜くべき「2050年」に必要な力とは?