チョコによって垣間見える裏事情
ずいぶん昔の話ですが、メンバーの人数がとても多いある女性アイドルグループが、バレンタインのチョコについて熱く語っているのを聞いたことがありました。製菓会社のCMに出演している人気メンバーにはスポンサーからバレンタイン用のチョコが支給されるし、大手芸能プロダクションに所属をしているメンバーにも、お金の出所は不明ですが、大量のチョコが渡され、彼女らはそれを持って現場にやってきます。
「でも、私は事務所にも入っていないし、コマーシャルにも出ていないから、これよ」とぼやいていた某メンバーが手にしていたのは、大きなビニール袋に入った大量のチョコでした。よく見ると、中には袋売りのチョコを1粒ずつにバラしたものがギッシリ。彼女はこれを、まさに1粒ずつ男性スタッフに配るというのです。「××(←スーパーマーケット名)で、安売りしていたチョコを少しずつ買い溜めしていたの」と語りながら、こんなところでも、人気メンバーとの格差を思い知らされるのか、という顔をしていた彼女。なんだか切なくなりました。
そうしたビニール袋には、値段が安くても、《ワザあり》のチョコが入っている場合もあります。有名なのは、「チロルチョコ」のDECOチョコです。いまではネットで注文ができるし、1個、100円もしないのに、かわいらしいイラストが描かれていたり、メッセージが記されていたり。こうした《ワザあり》チョコについても自ら用意するタレントと、事務所が用意してくれるタレントに分かれるのですが、《ワザ》に対する評価は値段以上のものがあり、「××ちゃんから、もらっちゃった!」などと若い男性ディレクターが小躍りしたり、「もったいないから食べずに永久保存」などと言ったりしています。バレンタインチョコの《効果》、恐るべしです。
丁寧だなぁと思ったのは、以前、某制作会社で番組の打ち合わせをしていたところ、某グラビアアイドルさんが、わざわざ訪ねて来て、社長さんに高価なチョコを渡しているのを見たときです。テレビ局ならまだしも、それぞれの局の最寄りにあるとはいえ、点在している制作会社一社一社を回っているとは……。しかもそのとき、彼女はマネジャーさんと一緒ではありませんでしたから、仕事ではなくプライベートでやってきた感に溢れていたのです。年配の社長さんの顔がみるみる内に笑顔になっていくのがわかりました。