「ウチの人、絶対、私の世話なんか無理やわ」そんな不安が少しでもよぎったら、「家ではなく、緩和ケア病棟で過ごしたい!」と声高に主張しても、まったくOKです(提供:photoAC)
2018年の初夏に突然、10万人に1人の稀少がん・ジスト(消化管間質腫瘍、消化管の壁にできる悪性腫瘍の一種)と診断された緩和ケア医の大橋洋平さん。その後手術と抗がん剤により、緩和ケア医としての仕事に復帰しましたが、転移が発覚。今も闘病生活を続ける大橋さんが語る言葉には、今日を生きる力が湧いてきます。他人に遠慮せず、最期は「いい人」から卒業して、自分が望む旅立ちを迎えることが一番とのことで――。

緩和ケア病棟入院か在宅療養か

主治医から、希望した緩和ケア病棟入院でなく、在宅療養を勧められた話を、少しだけさせて下さい。

「病院より、家のほうがいいでしょう?」

実はこれって、「医療者が患者さんに言いがちな常套句ベスト10」の上位に食い込む言葉やないかと思うんですよね。

確かに、住み慣れた我が家のほうが、のびのびできるでしょう。

24時間、家族と一緒に過ごせる。

ヘッドホン不要でテレビや好きな音楽も存分に楽しめますし、ペットとも触れ合える。

なにより、会いたい人に、いつでも会える。

緩和ケア病棟は、他の病棟と違って、面会時間など比較的ゆるい傾向にはありますが、それでも一定の制約からは逃れられません。