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貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんは現在放映中のドラマ『三千円の使いかた』で、お金との付き合いについて改めて学び直しているそう。ドラマは明日2月25日にいよいよ最終回、「ドラマをきっかけに固定費を見直した」など反響が大きく、2月24日の『めざまし8』でも、原田ひ香さんの原作『三千円の使いかた』やドラマについて特集が組まれました。第32回は「お金と家庭環境」です。

お金の使い方を考えることは

ドラマ『三千円の使いかた』は、”お金の使い方”を中心に展開される人間ドラマ。
大ベストセラーとなっている原田ひ香さんの同名小説が原作。
「三千円の使い方で人生が決まる」という言葉は、この物語の主人公である御厨美帆(葵わかな)の祖母、御厨琴子(中尾ミエ)の教え。三千円とは、1日100円貯めた時、30日、つまり1ヵ月で貯まる金額。そのくらいの額で買うもの、選ぶものが、人生を形作っていく、という。

このドラマでは家を買うときの頭金はいくら?住宅ローンはどのくらい借りられる?離婚するならいくら貯えが必要?なんて具体的な話が次から次へと出てくる。
極貧家庭で育ち、そういったまとまったお金の使い方、人生への投資、といった概念と無縁で育った私は、このドラマを見るだけで、まるでお金について授業を受けているよう。
育った環境に関わらず、お金の使い方、さらには働く意味、生き方について否応なしに考えさせられるドラマだと思う。

主人公の美帆は、今が楽しいことが一番大事、という価値観で、貯金よりも今欲しいものを買い、躊躇なくお金を使っていた。
そんな中、街中で偶然保護犬と出会い、将来保護犬を飼いたいという夢ができる。そのためには条件がいくつかあり、最適な環境で迎えるため、中古の一軒家を買うという目標を立てる。

夢ができたことで、まとまった額の貯金が必要になった美帆。お金の使い方を見直し、生活を変えていくうちに、自分にとって本当に必要なものは何か?何のために働き、生きていくのかを真剣に考えるようになり、人間的にも成長していく。

他にも、美帆の祖母であり、年金暮らしをしていた琴子が、70代ながら新しい仕事に挑戦。自分で稼いだお金があることで生きがいを取り戻していったり。美帆の姉である真帆(山崎紘菜)が専業主婦として節約を徹底し、切り詰める生活が、周囲と比べて本当に幸せなのか、夫や子どもに我慢を強いていないかと思い悩んだ後、家族の幸せのために節約するという目的を思い出し、誇りを持てるようになったり。
お金の使い方を考えることは、どう生きるか、すなわち人生について考えることなのだ、ということに気づかされる。

『三千円の使いかた』(著:原田ひ香/中央公論新社)