7話は胸の痛い回だった
さらに、琴子の友人となる小森安生(橋本淳)はフリーターで、アルバイトを転々としてお金が貯まるとバックパッカーとして旅をする青年。祖母から譲り受けた持ち家があるため、年収100万円で生活しているが、家庭菜園をしてスローライフを謳歌している。安生はフラフラしているが愛されるキャラクターで、どこか憎めないところがあるのだ。
年収100万円は持ち家がなければとても生活は成り立たない金額だろうが、彼の生活を見ていると、幸せを築ける年収は人それぞれだと思わされる。自分に必要な年収はいくらだろう?そんなことを考えたりする。
ドラマの登場人物はみな魅力的だが、個人的に琴子と安生の世代を超えた友情関係は見るたびに思わず顔がほころんでしまう。中尾ミエさんが演じる琴子はとにかくかっこよく年齢を重ねてこその知性と大胆さがあり、理想のシニアそのもの。琴子は働き先である表参道のアパレルブランドで洋服を颯爽と着こなすのだが、その姿はハッとするほど素敵なのだ。
そんな魅力的なキャラクターたちが展開するかつてないほどお金の問題を正面から描いた本ドラマ、7話は胸の痛い回だった。
美帆は付き合っていた沼田翔平(葉山奨之)からプロポーズされる。
翔平との出会いは、節約アドバイザー「黒船スーコ(アンミカ)」のセミナー。
お互い堅実に将来設計をし、お金ともしっかり向き合うタイプ。この人となら、と想い合い、将来の生活に必要なお金の計算もしていた。しかし、美帆が翔平の実家へ挨拶にいった際、思わぬ事実が発覚。翔平の両親は、翔平の美大の学費を賄うために、翔平に告げずに教育ローンを組んでいたのだが、その返済が苦しくなったのだという。そして美帆の目の前で、翔平に残りの400万円を自分たちで払ってくれと言い放つ。
寝耳に水だった翔平、さらにいきなり結婚を考える相手に400万円の負債があると知らされた美帆。
そしてその後、本当は美帆の実家に翔平を連れて行く予定だったのだが、美帆はそれをキャンセルしてしまう。
結婚するかもしれない相手が挨拶に来ると思い、張り切っていた美帆の家族は一転、事情が変わり、家族会議を開く。
翔平の実家は経済的に困窮しているわけではなかった。趣味のバイクにお金をかけたり、お金の使い方に計画性がなく、自分たちが組んだローンをいきなり子どもに払えと言い出したりといった翔平の両親の言動に、美帆の母・智子(森尾由美)や真帆は不安を覚える。さらに真帆は、ローンを抱えた相手と結婚することで美帆の夢が遠のくのではないかと案じる。