奨学金返済と結婚問題で悩む人は少なくないのかも
私が、高校・大学と進学する中で、周囲と感じた一番の差は、親から受け継いだ金銭リテラシーの違いだった。
最近節約やお金についての記事を読むたびに思うが、お金のやりくりや投資をするためにはそもそもある程度の収入が必要で、困窮していると、削る部分もなかったりする。お金の配分という段階にはいかないのだ。お金の使い方を考えられるというのは、ある程度経済的に余裕があってこそできることなのだ。
翔平は両親を反面教師に、お金の使い方を考えているのはすごいと思う。
”普通”の家庭、しかし、社会全体から見ると相当恵まれた環境で育った美帆とでは、埋めようのない感覚の差が生じるのも、理解できる気がする。
美帆が、家族のことを考えるのが普通、話し合うのが普通、計画的にお金を使うのが普通、と正論を言うが、翔平は、美帆が間違ってないとは思う、でもそれが難しい家庭もあると思うよ、美帆の家庭では出来て当たり前だったんだろうけど…と返す。
この翔平の気持ちは、私は痛いほど分かる。
家族が機能しているのも、子どものためにお金の使い方を親が考えるのも、計画性が大事だと思えるのも、当たり前ではない家庭は存在するのである。
一人で貯金していくだけならいいが、誰かと結婚するということは、家計を共にするということ。翔平は残りのローンを美帆に迷惑を掛けずに自分で返していくつもりだが、ふたりで最初に立てた計画に支障が出るのは避けられない。
しかし、先ほど取り上げたように、大学・短大に通う学生のうち2.7人に1人が奨学金を借りているというデータを見れば、結婚相手に借金がある、というのは全く珍しくもなんともない話。
私は結婚願望がないので深刻ではないが、奨学金返済を抱えているので、もし結婚願望があったら相手に説明しないといけないと思うと相当気が重いことだろう。
さらに、美帆の家族が一旦は結婚に反対に転じたことをみると、(もちろんローンそのものより、両親の姿勢に不安を覚えた部分が大きいだろうが)現実でも借金があることを理由に、相手の実家から結婚を反対される可能性すらあると思うと、暗澹たる気持ちになる。
奨学金返済と結婚問題で悩む人は少なくないのかもしれない。
恋人にそれをいつ打ち明けるのか。もっと早く言ってくれればという意見もあるだろうが、相当親しくならないと、つまり結婚でも意識しないと言い出せないだろう。
「普通」を手にした人からの「問題あり」という目線、普通の家庭で育った人とのすれ違い、何とも自分事のように胸が痛む。
恋も愛も家族も、大事な人間関係はお金の問題を離れては語れない。
結婚を描くドラマは星の数程あっても、相手が抱えるローンにまで切り込むドラマは珍しい。
次回予告で美帆は再び翔平に向き合うようだ。育った環境の違うふたりが、「結婚とお金」という究極の問題をどう乗り越えるのだろうか。