一軍グループ
道徳の授業で、ディベートの時間があった。一つのテーマに対して二つの意見に分かれて討論するのだが、議論が煮え切る前に、担任が遮るように「答えはAです!!!」と言ってしまう。しかも、不正解だった方に、「あなた方はおかしい」「どう考えても違うでしょうが」と呆れたように言うのだ。
テーマにはっきりとした正解はなく、意見を出し合うことに意義があると思っていたが、結局最初から正解は教師側が用意していて、それに従わされる。そのやり方に違和感を抱かざるを得なかった。
私はめんどくさい「ませガキ」だったと思う。
学校の運営の仕方一つ一つに疑問や矛盾を感じ、「それは不公平ではないですか?」「それはどういう意味ですか?」「これはもっとこうするべきだと思います」と進言することも多かった。
でもそりゃあ中年の教師からしたら、小学生が口を挟むのはおもしろくはないだろう。
意見するたびに、「何も知らないのにそういうことは言わないほうが良い」「そういうものなんだよ」とあからさまに切れ気味に言われた。
中学生の時、私が一軍グループにいじめられても担任は何もしてくれなかった。
中学生とはいえ、徒党を組むと中々力は強い。”一軍”グループに嫌われれば教師いじめが始まる可能性だってある。
だからか、一軍グループに対しては物言えない教師も多かった。
しかし道徳の授業で、いじめ問題を取り上げる時、担任の教師は言った。
「俺には子どもがいる。もし子どもがいじめられたら、いじめたやつらを殺してやりたいと思うだろう」
大真面目に語っていたが、私は心の中で笑った。呆れ笑いだった。
今このクラスでいじめられている私にも、親がいるんですけど。
自分の子どもがいじめられるのは殺したいくらい許せないのに、クラスのいじめには何も出来ない。たいした正義感だ、と思った。