その教師の方が私は何倍も信頼できた
高校はやたら厳しい進学校。
中学と比べものにならないほど治安がよかった。
いじめは皆無。陰湿な人はおらず、終始平和だった。
それでもやはりスクールカーストは早い段階で出来上がった。
人が3~40人集まったらヒエラルキーが生じるのが人間というものなのだろうか。
そして案の定教師は1軍グループにこびへつらいおもねった。そんなに露骨でなくても、やはりグループによって態度が違った。
クラスの決め事では必ず一軍が発言権を持つ。
学校は民主主義ではなく、スクールカースト主義。
もちろん立て前は美しい民主主義だが。
スクールカースト上位の者が発言権および意思決定の権利を有するのだ。
教師はその歪さを意に介さなかった。
人気のある教師がいい教師とは限らない。
もちろんイコールの場合はあるが、私の経験上、人気のある教師とは1軍グループに取り入ることに長けた教師だ。
そういう教師に限って、クラスで浮いている生徒を平気で無下にしたりする。
誰にでも公平であろうとする教師は、悲しいかな、1軍グループに煙たがられていたりする。
中学生の時、フリースクールを経て私は学校の相談室登校になった。
教室で授業を受けない限り、通知表は付けられなかった。
高校受験の際、内申点がないとかなり不利になるだろう。
それでも集団の中に入る恐怖が強く、人目に付かないように相談室にこもっていた。
しかし、それを案じてか、1時間だけでも授業にでてはどうかと提案してくれた教師がいた。
その教師はとても嫌われていた。校内で幅を効かせ、傍若無人に振る舞っていた1軍グループに厳しくあたっていたからだ。
私が教室に入る前、ジロジロ見たりしないよう周知すること、席は一番後ろの端にすること、音読などでは当てないことなどあらゆる配慮をしてくれた。私は少しずつ授業を受けられるようになった。週に何度かしか出られなかったが、その教師の担当科目には、通知表に数字が付けられていた。
人気があったがいじめに何も対処してくれなかった教師より、嫌われているその教師の方が私は何倍も信頼できた。