私は愛されていたんだと思った

希林さんはそのときのことをもう一度反芻していたのでしょうか。

しばらく間を置いてから、

「あぁ、私は愛されていたんだと思った」

と言ったのです。

『エールは消えない-いのちをめぐる5つの物語』(著:志村季世恵/婦人之友社)

時間にすると20秒の沈黙。そして一言の「そうか」。 

裕也さんはそのとき、何を感じていたのだろう。走馬灯のように希林さんとの思い出が脳裏を駆け巡っていたのでしょうか。

それとも頭の中が真っ白になったのでしょうか。