夫婦というカタチ

妻以外の女性とお付き合いをすることが多かった裕也さんでしたが、人目を気にしたり言葉通り慌てたりすることもあったのでしょう。

「私だったらきっと、『それどういう意味!?』って大騒ぎですよ!」
と言ったら、希林さんはケラケラ笑っていました。

夫婦というカタチは何にも勝るものだったのでしょうか。でも、つらいこともあったはず。

そんなときには浅田美代子さんが裕也さんに真っ向から立ち向かい、怒ってくれたのだそうです。とても気持ちよかったとおっしゃっていました。

希林さんは裕也さんを本当に愛していた。私にはそう思えます。

※本稿は、『エールは消えない-いのちをめぐる5つの物語』(婦人之友社)の一部を再編集したものです。


エールは消えない-いのちをめぐる5つの物語』(著:志村季世恵/婦人之友社)

「人がこの世を去ってからも、応援(エール)の思いはずっと生き残る。決して消えたりしない。まるでお守りみたいに」。

本書は、著者が見送った87歳の母のこと、最期を共に過ごした樹木希林さんのこと、自殺した娘の子どもを育てたお母さん、両親をなくし伯父伯母に引き取られた姉妹と、見守るおばあちゃん、子育て中の盲目のお母さんなど、5つの多様な家族の物語と、めぐるいのちを描いた珠玉のエッセイ集です。
巻末には、内田也哉子さんとの対談「母をおくる」も収録。