夫婦っていいもんだな
時間が止まったような20秒の中で、希林さんは言葉にならない深い愛を感じていたのです。
それを受け止める希林さんに、今度は私が沈黙しました。
私はなんて欲張りなのだろう。私は相手に求めてばかりいたって思ったから。
すっかり私が黙ってしまったものだから、希林さんはさらに話を続けます。
あるとき、ホテルのエレベーターに二人で乗っていると、途中の階で扉が開きました。
そのとき裕也さんは「おまえと一緒だといいな。慌てなくていいんだ。夫婦っていいもんだな」と言ったのだそうです。
希林さんはこの話をとてもうれしそうにしていました。まるで乙女のように。