後継者をどうする
くり返しますが、そうした事情を考えて督姫の生年は(2)の1575年生まれが妥当では、と考えたわけです。
しかしそうなるとですね、とりあえず「督姫が産まれたのは岡崎ではない」ということになります。
家康が岡崎から浜松に生活の場を移した後に、督姫は産まれているはず。一方で、ドラマでは岡崎城、もしくは城外の築山で産まれてきたふうをあやすシーンが描かれていましたが、それはフィクションでしょう。
実はこのドラマ、これから先、家康の後継者問題が面倒なことになるような予感がしています。それは、そう推測させる先生がドラマの時代考証を担っていらっしゃるから。
そうなると、督姫の出生などを始めとした、家康がこの先にも起こすであろう「女性問題」が、今後のドラマの“キモ”になるかもしれない。
そんな推測を踏まえ、今回は督姫について整理をしておくことといたしました。
『「将軍」の日本史』(著:本郷和人/中公新書ラクレ)
幕府のトップとして武士を率いる「将軍」。源頼朝や徳川家康のように権威・権力を兼ね備え、強力なリーダーシップを発揮した大物だけではない。この国には、くじ引きで選ばれた将軍、子どもが50人いた「オットセイ将軍」、何もしなかったひ弱な将軍もいたのだ。そもそも将軍は誰が決めるのか、何をするのか。おなじみ本郷教授が、時代ごとに区分けされがちなアカデミズムの壁を乗り越えて日本の権力構造の謎に挑む、オドロキの将軍論。