ドラマでは道化な一面を見せつつ、クールに家康を撃った本多正信。果たしてその正体とは(写真提供:Photo AC)

松本潤さん演じる徳川家康がいかに戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのかを古沢良太さんの脚本で巧みに描くNHK大河ドラマ『どうする家康』(総合、日曜午後8時ほか)。第8話では、一向宗への年貢の取り立てを始めたことで、三河各地で一揆が勃発。家康は武力で抑え込むべく家臣を向かわせるが、一向宗側についた家臣を斬ることにためらう者が続出。松平昌久(角田晃広さん)らも動き出し、三河は内紛状態に。宗徒側に有能な軍師の存在を疑った家康は、服部半蔵(山田孝之さん)らを本證寺へもぐりこませるが――といった話が展開しました。

一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第27回は「本多正信」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

マツケンさんにしびれた!

恐らく日本史好きにはバレていたかもしれませんが、一向宗側についていた軍師は松山ケンイチさん演じる本多弥八郎正信でした。

ほかの家臣たちと一緒にいるシーンで道化な姿を見せたと思えば、相手方に潜んで、クールにスナイパーとして家康の頭を撃ち抜く。いやあ、マツケンさん、あらためていい役者です! 

ちなみにぼくは聖心女子大で講師をしていたとき、授業で「暴れん坊将軍って、ほら、あのマツケン・サンバの」と発言したことがありました。

すると、学生たちから「『暴れん坊将軍』などと呼ばれていた将軍は知りません。それに、あの松山ケンイチさんがほんとにサンバを踊っていたんですか?」と怪訝な顔をされ、時の流れの苛酷さを思い知ったことがあります。