(イラスト:macco)
2022年に内閣府男女共同参画局が発表した結婚と家族をめぐる基礎データによると、女性の50歳時点で未婚・離別により配偶者のいない人の割合は、1985年は8.7%だったのに対し、2020年は26.9%となっています。さらに、厚生労働省が発表した2021年の人口動態統計によると、全婚姻件数に対する夫妻の再婚件数の割合が、1995年には夫13.2%、妻11.6%だったのに対し、2021年には夫19.1%、妻16.6%と増加。出会いは何歳でも遅いということはなく、新しいパートナーと人生をともに過ごすことを選ぶ方が今後さらに増えるかもしれません。山田睦子さん(仮名・熊本県・パート・73歳)は夫に先立たれた後、怪我で手術が必要になり心細さを抱える中、ある人物との出会いに救われたそうで――。

20年ぶりの偶然の再会

先日、73歳の誕生日を迎えました。3年前に夫を交通事故で亡くし、以来ひとり暮らしをしています。アルコール依存症だった夫からの暴力は大変なものでしたが、もともとは優しく、真面目な人。もっと寄り添えていたらなど後悔はありますが、ひとりの時間は夫が与えてくれたのだと思い、悔いのない生き方をしようと心に決め、過ごしていました。

転機が訪れたのは、穏やかな日々を送っていた2年前の大みそかのこと。県外に住む子どもを訪ねた際、自転車に乗っていたら強風にあおられて転倒し、救急車で搬送されることになったのです。骨折していて、すぐに入院と手術が必要とのこと。

でも、その後の通院や持病のことを考えると、私の家の近くにある病院にお願いしたほうがいいのではないかと、決断できずにいました。その日は応急処置をしてもらって、一度娘宅に帰ることに。その後自宅に戻り、地元の病院で手術と入院をすることに決めた背景には、ある男性の存在がありました。

1歳年上のその男性は、20年ほど前に働いていた職場の人。名前は知っていたものの、挨拶をかわす程度でした。そんな彼と再会したのは、私が骨折をする3ヵ月前。心身の健康のため、週に2回ほど通っている銭湯の帰り道でした。

その日もいつものようにサウナに癒やされ、帰路につくと、後ろから声をかけられたのです。互いに年を重ねたとはいえ、あまりにも痩せて、以前と風貌が変わっていたため、すぐには誰だかわかりませんでした。会話のなかで、がんの手術を受けたことを知り納得。