雲水の生活は必死
臨済宗って、基本、ほめちゃいけないんですよ。まあ、子供の頃からあんまりほめられたことないから、全然苦にならなかったですけど(笑)。
僧侶の世界には、「四九日(しくにち)」というしきたりがあります。
四と九がつく日に剃髪や入浴をするんですが、理由は……知りません(笑)。だから今でも、髪を剃るのはこの日です。磨いたようにツルツルになる、ヒゲ剃り用の5枚刃カミソリがお気に入り。
ただ、女性の雲水の場合は、さすがにすべてが「四九日」というわけにもいかず、入浴は1日おき。夏場は行水という名のシャワーも許されますが、この入浴自体も修行というか、苦行です。
食事同様、とにかく与えられた時間が短い。30分で13人の修行僧の入浴が完了しないとダメなんです。しかも、入れるのは先輩雲水から。
だいたい3~4人ずつが1組になって入るとして、「脱いで・洗って・湯船に浸かって・出てきて着替える」というプロセスを10分以内で終えないといけない。先輩がゆったり入っていると、新入りは割を食っちゃう。
もう、必死でした。
※本稿は、『駆け込み寺の庵主さん――心のモヤモヤ「供養」します』(双葉社)の一部を再編集したものです。
『駆け込み寺の庵主さん――心のモヤモヤ「供養」します』(著:松山 照紀/双葉社)
姫路の地で300余年続く尼僧庵・不徹寺。現住職の松山照紀さんは「駆け込み寺の庵主さん」として迷える女性たちを受け入れ、体を張って守ってきた。2匹の寺猫ともども傷ついた女性を癒やす庵主さんだが、その半生は激動の連続。学生結婚、シングルマザー、大病を経て看護師となった庵主さんは、なぜ不徹寺へと導かれたのか?そして不倫の恋やパートナーへのモヤモヤ、大切な人との別れなど、しんどい思いをどうとらえればラクに生きられるのか? 実体験に基づく禅の教えに、心がスッと晴れる「読む駆け込み寺」。