東日本大震災の4日後に天衣寺へ

残された人たちを精神的に支えることも、立派な被災地支援ではないか。

ならば今、私がやるべきことは何か。

ひとたび道場に入れば、テレビ、ラジオ、新聞など世間のあらゆる情報はすべてシャットアウトされます。

修行が終わるまで、俗世とつながることは許されません。

非常につらい決断でしたが、覚悟を決めました。

今、私がやるべきことに集中しなくては、と。

3月15日。

桃の花がそろそろ色あせ、桜にはもう少しという頃、修行先である天衣寺へと向かいました。

五十路も見えてきた修行僧、すなわち雲水(うんすい)1年生。

「きつい」と聞いていた修行は、玄関から始まっていたのです。

『駆け込み寺の庵主さん――心のモヤモヤ「供養」します』(著:松山 照紀/双葉社)