「頭の中がカチッと《治療モード》に切り替わり、口をついて出てきたのは、『どうやって治すんですか?』」(撮影:宮崎貢司)
いつも朗らかで健康的な秋野暢子さんが、2022年6月、食道がんと診断された。闘病の様子をブログで発信、前向きな姿が共感を呼んでいる(構成=平林理恵 撮影=宮崎貢司)

喉に食べ物が詰まるように

かかりつけのクリニックの紹介で訪れた大学病院。検査を終えて診察室に入ったら、モニターに私の食道の画像が大きく映し出されていました。入り口のところには不自然な膨らみがボコボコと。

「先生、これ、がんですね」

「はい、がんです」

テレビドラマならショックで先生の声すら聞こえなくなるでしょう? でも私は不思議とそうならなかった。なってしまったことを嘆いたってしょうがない。それよりも治すことを考えなくては。

頭の中がカチッと「治療モード」に切り替わり、口をついて出てきたのは、「どうやって治すんですか?」。医師は「ここでは治せないから」と、頭頸部(目の下から鎖骨までの部分)の専門医がいる病院に紹介状を書いてくれました。