やっぱり人は負の感情のほうが強いからね。負の感情には勝てない。がん細胞と一緒。オセロのように、白のものも瞬く間に黒に変えてがん化していく。なにせ黒になったものは、ジャイアンのように強引だから。それでも白が、「白に戻ろうよ」と一所懸命説得し続ける。これが免疫力だよね。心の中に一つも黒がなく、真っ白な気持ちで、次のアジアツアーができたらいいなと思っています。

自分の身体って、本来は自分自身でマネジメントできるはずで。だから自分をちゃんと「もってる」人がどれだけいるか、ということなんだけど、これが、自分だけで自分が形成されている人ってまずいない。人は影響を受ける生きものだから。気づいたときには影響を与えられている。いろんなことを吸収してしまっている。音楽で例えるなら、それがオリジナリティなのかもしれないね。

 

──今回、ライブを観て思ったのは、「完全にASKAだ」ということでした。ずっとそうだったのかもしれず、本来あるべき姿になっただけかもしれないけれど。音楽と引き離される状況にあっても、音楽を作ることをひとときも忘れず、続けていたASKAさんとこうして再会できて本当によかった。今日もたくさんのお客さんが待っています。この場所に選ばれちゃってますからね、つらくてもあきらめてください(笑)。神様の不思議なはからいなので。

僕は去年還暦を迎えたから、この先、自分のやれることはだいたい想像できてる。でも、輪廻は間違いなくあるからね。いつか生まれてくる自分のためにいまがある。そう思っていまを生きなきゃ。

僕が起こした出来事で、なにより僕の音楽を聴いてきてくれた人たちを傷つけてしまったことを考えているばかりではね……。それについてはもう言葉にはせず、歌で返していくしかないからさ。僕にできるのはそれだけ。だから今日も怯まずに、力の限り歌う姿を見せに行ってきます!
 

聞き手:山口ミルコ