もう普通の生活は送れない
事件が発覚してから3日目くらいのとき、知人が心配してくれて、「気分転換にうちに遊びにおいでよ」と声をかけてくれました。
家に閉じこもっていてもしょうがないから、家族で出かけようと家を出たとたん、見知らぬ男の人が2人駆け寄ってきて、目の前30センチくらいの近距離でパシャパシャとフラッシュを焚かれました。
その瞬間、自分は犯罪者なんだ、もう普通の生活は送れないところまで落ちてしまったんだと思って、目の前が真っ暗になりました。
家の前にメディアの方が張り込みをしていて、アポ無しで突撃されるなんて、テレビの世界の話だと思っていました。
それが自分の身に起きたことにビックリしてしまって、怖くなりました。
週刊誌の記者の方に「今どういったお気持ちですか?」と聞かれて、僕は小走りに逃げてしまった。
一緒にいた嫁と娘を守らないといけないのに、自分が先に逃げてしまったのです。
何とかタクシーを拾って、3人で知人宅に向かったのですが、あの日が一番心を揺さぶられました。
嫁にはこっぴどく怒られました。まず「なぜ逃げるの?」、そして「原因はあなただよね」と。
まだ僕は、自分の弱さと向き合いきれていなかったのでした。落ちるところまで落ちて、やっとそのことを自覚しました。