一人で生きる姿勢が必要

ただ人生は意外と優しいもので、一人で生きにくかったら、そうしなくても済むかもしれない方法が実はたくさん用意されていることを知っておいてもいいかもしれない。

今私が望んでいるのは、話の合う人たちと幾つになっても食事をすることだ。

外へ食べに行ってもいいが、自分の体が利いたら、私は料理が好きなのだから、自宅でお惣菜を作って食事に招きたい。

「イワシの丸干しだって尾頭付きなのよ」と言うと皆納得している。

かつてどのような偉いポジションで仕事をしていた人にでも、後片付けは手伝ってもらっていいだろう。

人生の時間を、縁のある、気の合った他人と少しずつ共有することができたら、それは大きな幸福だし、成功なのだと思えばいい。

しかしその基本には、一人で生きる姿勢が必要なのである。

※本稿は、『新装・改訂 一人暮らし 自分の時間を楽しむ。』(興陽館)の一部を再編集したものです。


新装・改訂 一人暮らし 自分の時間を楽しむ。』(著:曽野綾子/興陽館)

夫、三浦朱門が亡くなってからはじまった一人暮らし。
誰もが最後は一人に戻り、一人を過ごす。
曽野綾子の「一人暮らし」新装・改訂版。