ブーケのロゴ

「直前でもOK」「予約したら出発保証」

新ブランド「ブーケ」で勝負をかけたのが、2022年11月に創業60周年を迎えた読売旅行だ。23年元日に販売開始したブーケの商品群は、「豊富で実績があるパッケージツアーの『楽』、気ままに直前でも行ける個人旅行の『自由』のどちらもかなえるハイブリッドな新しい旅」をうたい文句にする。

「ブーケ」という名称には、「色や形のちがう花たちを/えらんで束ねるみたいに、/旅のプランや楽しみかたも/自分らしく、自由に。」(ブランドステートメントより)という思いを込めたという。

たとえば、人気を呼んでいる「なんちゅてん南九州」コースは、羽田から鹿児島までの往復航空便と2泊のホテルに加え、指宿までのJRやバス乗り放題のチケットなどを用意した。

何も事前準備せずに飛行機に乗っても、見どころは漏らさず楽しめると同時に、自分たちのペースで動けて、思い立ったら寄り道したり休憩したりできる気ままさもある。航空便の出発、到着時間は、都合に合わせて複数の選択肢からチョイスできるようになっている。

GWでもまだ間に合う読売旅行「ちゅら沖縄本島」コースのサイト

団体ツアーの場合、出発日の1週間以上前に申し込まねばならず、集まった人数が少なければ催行が中止されることもあるが、ブーケでは「直前でもOK」「予約したら出発保証」をうたう商品も取りそろえた。

4月20日現在、まだ間に合うゴールデンウイーク(GW)商品としては、「ちゅら沖縄本島3日間」コースがある。全日空の便は幅広い時間帯と価格から選べる一方、宿泊は安心して泊まれるグレードのホテルが厳選されており、「選択肢が多すぎると、かえってわかりにくい」という顧客の声に応えた。

新ブランド投入から4ヵ月、現状は一気に新規顧客を獲得したり、既存顧客が「ブーケ」に流れたりというところまでは至っておらず、同社の取扱量は依然として団体ツアーが大半を占める。それでも、「お客様が求める旅のかたちを探して、ブーケの挑戦は続ける」(読売旅行・貞広貴志副社長)と言う。

日本の観光地では、再び外国人観光客の姿が目立ち始めた。5月8日に新型コロナウィルスの感染法上の位置付けが2類から5類へと移行すれば、これまで旅を控えてきた日本人観光客も復活が予想される。

コロナ禍で行動パターンが変わった新たな顧客層は、果たして「ブーケ」を手に取るのか――。老舗旅行会社の挑戦は、正念場を迎える。