注意すればするほど事態が悪化する
それは、コウタくんが大人の反応を楽しむようになってしまったからです。
コウタくんにとって、授業は退屈でつらいものでした。
ところが、その授業を放棄して立ち歩くと、教師が注意してくれます。つまり、彼に反応してくれるのです。しかもそのあと、支援員が優しく接してくれます。
立ち歩くことで退屈がまぎれ、心地よささえ得られるわけです。
だからコウタくんは、
〈座って我慢しているより、歩いたほうが、大人の反応が楽しいぞ〉
〈しかもそのあと、優しく接してくれるから、歩いたほうが心地いいぞ〉
と感じ、本来なら身につけるべきではない「立ち歩き」を、メリットのある行動として、誤って学習してしまいました。これが「誤学習」です。
誤学習が起こると、大人が注意すればするほど事態が悪化します。
だから発達障害がある子には、注意や叱責ではなく、できるだけ穏やかに「望ましい行動」や「スキル」を教えてあげる必要があるのです。
※本稿は、『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)の一部を再編集したものです。
『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(著:小嶋悠紀 イラスト・マンガ:かなしろにゃんこ。/講談社)
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特別支援教育のエキスパートが送る「支援スキルの大全集」
多くの発達障害・グレーゾーンの人と関わるなかで磨き上げられた、
子どもたちへの「声のかけ方」「接し方」、そしてアセスメントの方法を100集めました