ご縁に感謝して生きろよ

その数時間後。私はまた、この世界に座るイスを差し出してもらえていました。

「イス取りゲーム」だと言えば軽すぎるけれど、イスがなければ座れない世界。

書き出しきれないほどに浴びてきた荒波の数だけ、私は経験を重ねることができたのだとも思います。

「人生は結局、すべてご縁なんだ。ご縁に感謝して生きろよ」

何のことだかよくわからず、父から呪文のように聞いてきたこの言葉の意味が、今ならよくわかります。

生かすも殺すも人と人。1ミリのご縁も無駄にせず、もう一度この世界で生かさせてもらおう。そう心が決まった覚悟の日でした。

※本稿は、『だいじょうぶじゃなくてもだいじょうぶ』(著:西山茉希/大和書房)の一部を再編集したものです。

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だいじょうぶじゃなくてもだいじょうぶ』(著:西山茉希/大和書房)

37歳、西山茉希の「今」を語った等身大初エッセイ。

事務所問題、出産・子育て、離婚、シングルマザーの恋愛など、体験や心情を赤裸々に、包み隠さず、自分の言葉で書き出しながら、仕事や人生への向き合い方、揺れ動く感情の扱い方、幸せの捉え方を語った1冊。

“今”に正解が見つからないなら不正解でもなく、迷子になってもそこにはきっと何かがあって、見つけるか見つけないかはその人次第。

紆余曲折ありながらも、強くしなやかに生きる「根っこ」にあるものとは――。