なかはらさんは、つつましくも贅沢に暮らすヒントとして「無駄な買い物をしない」と言いますが――(写真:『68歳、つつましくも贅沢な暮らし:年金3万+α、好きな場所で好きに生きる』より)
昨今、物価やエネルギー価格が上昇して生活費がかさむ中で、なかなか贅沢することができず、お金の不安も尽きませんよね。一方、衣食住について八ヶ岳で「つつましくも贅沢に暮らす」を実践しているのは、織物&染物作家でYouTuberとしても活躍する、なかはらけい子さん。そのなかはらさん、「小さい頃からケチでとにかく無駄な買い物はしなかった」そうで――。

基本ベースはケチで生きています

私は倹約家です。世間では、ケチともいわれます。

小さい頃から、ケチでした。まだ実家がボットン便所だった頃、私が小学1、2年の頃の話です。

お年玉をもらった私は幸せいっぱい用を足し終わりました。それまでの人生で一番たくさんお金の入っている財布をボットンの中に落としてしまいました。

長い棒を使ってなんとか死に物狂いで財布を取り出して、札をきれいに洗って、この札を持っているのは良くないと、子供ながらに考えて、近所の駄菓子屋の古い生菓子を子供のくせに大人買いしてしまいました。

生菓子は日持ちしない、駄菓子屋のものはたいてい古い、しかも年末年始を過ごした饅頭です。私はボットンのお札を使い切って、家族に生菓子を威張ってふるまいました。

正月なのでたらふく食べている家族です。しかも、賞味期限なんかとっくに過ぎているであろう饅頭です。

駄菓子屋のばあさんは、売れ残っていつも捨てる饅頭が売れたのだから喜んでいましたが、たくさんの饅頭を出したときの家族全員の顔は、今でも私のトラウマとなって残っています。

それ以来、私は「要らんものは買わないようにしよう、無駄遣いはやめよう」と決意しました。

以来、人におごった経験はないような、あっても片手で数えて余裕で間に合います。