竹中さん「コミュニケーションは言葉のキャッチボールです」と言いますが――(写真提供:Photo AC)
2022年の『犯罪白書』によると、前年に刑法犯で検挙された人のうち、再犯者(道路交通法違反を除く)の割合を示す「再犯者率」は48・6%だそうです。受刑者たちの再犯を防ぐため、刑務所で「社会復帰プログラム」の授業をしているのは、よしもとクリエイティブ・エージェンシーで専務取締役を務めるなど、約35年間「お笑い」産業を後方で支え続けた竹中功さん。その竹中さん「コミュニケーションは言葉のキャッチボールです」と言いますが――。

受刑者が美容師として働く美容院

刑務所は法律によって、男女ともに所定の作業をせねばならないことに現在はなっています。

そして、受刑者が出所後、定職に就き、社会復帰するために必要な支援として、各種資格の取得、様々な「職業訓練」も実施しています。

その中で、岐阜県の笠松刑務所(女子)には美容師を目指す「美容科」があります。ここで2年間の厳しい訓練を受け、ほとんどの人が美容師国家試験に合格しています。もちろん男子刑務所では「理容」の訓練を受けられる所もあります。

この笠松刑務所の真横には「みどり美容院」という名の美容院が併設されており、一般人が利用することができます。

髪を切る以外にセットをしたり、染めたり、パーマも掛けてくれます。もちろんここの美容師は国家試験に合格した受刑者です。

お客さんがいらっしゃらない時に、この美容院に入れてもらいましたが、中には4つの椅子、鏡やシャンプー台、少し古めかしいですが、設備としてはみな揃っていました。

ただ昭和レトロと呼んだほうがいいかもしれません。映画のセットのような懐かしい造りのままでした。

聞きますと、他の店と違うところが何点かありました。まず、私語や雑談はプライベートの話を除き、一般的な世間話まではOKです。

出入口は人の出入りの都度、施錠されます。担当刑務官もずっと同席しています。

まずは別の受付で前払いを済ませておいてから美容室に入ります。

私もせっかくなので予約を入れようとしましたが、男性はお断りとのことでした。

料金はカット900円。染毛は長さによって2000〜2600円。パーマも同様に、長さによって1800〜2200円とお安いです。

営業時間は朝8時半からで、夕方4時に完全終了です。美容師さんが何人もスタンバイしている店でもないので、予約してから行くのが賢明です。

この美容院、初めて利用される方の中には、やはり「受刑者の方がハサミやカミソリという刃物を使うというのは大丈夫なんだろうか」と心配される方もいるようです。