銀座クラブのオーナーママである伊藤さん「折れない心、あきらめない気持ちは、きっと報われるのだ」と言いますが――(撮影:初沢亜利/写真提供:伊藤由美)
飲食店はこれまで、バブルの崩壊やリーマンショック、新型コロナウイルス蔓延による営業自粛など、度々逆境にたたされてきました。そんな数ある逆境を乗り越えてきたのは、銀座のクラブのオーナーママとして40年間生きてきた伊藤由美さん。接客の最前線に立ちながら、店の経営にも全面的な責任を持つオーナーママの経営者としての「ビジネス哲学」とは。その伊藤さん「折れない心、あきらめない気持ちは、きっと報われるのだ」と言いますが――。

わずか13坪足らずの小さなお店

1983年、23歳だった私が大決心をして銀座の片隅に『クラブ由美』を開業したとき、私にはほとんど何もありませんでした。

直前まで雇われママとして勤めていたお店の閉店で背負わされた1500万円の売掛金を何とか返済し、手元に残ったなけなしの貯金をはたいて開業した“初代”の『クラブ由美』は、銀座六丁目の以前、存在した洋菓子店アマンドの地下、わずか13坪足らずの、本当に小さなお店だったのです。

最初のうちはグラスの数も足りず、お酒のメーカーさんや酒屋さんにお願いして揃えてもらうほどの状態でのスタートでした。

お客さまが初めていらっしゃる際には、「由美ママの店、どこ? 場所がわからないよ?」「本当に銀座にあるの?」「ここは銀座の僻地(へきち)だね」などと、よく言われたものです。

そうしたお電話をいただくと、そのたびに近くまでお迎えに出ていました。それでも「自分らしく生きよう、自分の理想の生き方を貫こう」という思いの結晶である自分の城を持てたことは、何にも勝る喜びでした。

とはいえ、もちろん、順風満帆などという言葉がすぐにあてはまるほど甘いものではありません。