魔法みたいな医療の話

子どもを描いた作品ならともかく、大人を描いた作品で魔法なんて非現実的すぎやしないか!?とお思いの方がいるかもしれない。しかし大人だから魔法と無縁という話にはならない。

たとえば、種村有菜『31☆アイドリーム』では、「彼氏なし/趣味なし/特技なし」のまま31歳になった「出口千影」が、国から危険視されるほど効き目がある新薬を飲み、15歳の自分へと若返りを果たす。

『31☆アイドリーム (1)』(著:種村有菜/白泉社)

つまり新薬が一種の魔法として採用されているのである(アーサー・C・クラークの名言「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」を地でいく展開)。魔法を素直に信じられるほど幼くない大人女子には、魔法みたいな医療の話で対応するというわけだ。

なお、似たようなパターンとしては、美容整形があることも付記しておきたい。あれも手術一発で人生が変わる(かもしれない)という意味で、かなり魔法的である。