手間暇ばかりの「紙」……もうアナログはいらない

通常国会の会期中は連日のように予算委員会が開かれ、こうした国会待機の日々がとめどなく続く。

ある女性のキャリア官僚は、「省内の売店でワイシャツやネクタイも売っているので、男性は椅子を並べて仮眠した後、新しい下着に着替えて新しい1日を迎えることができます。

でも、女性は役所で1泊するわけにもいかず、着替えなどで一旦自宅に戻りとんぼ返りせざるをえませんが、家での滞在時間45分、そのうち睡眠が15分というのも珍しくありません」と、ブラック職場の実情を話した。

「デジタル化が急速に進む時代に、なぜ、こんなアナログなやり方が続いているのか非常に疑問です。最大のネックは、すべて「紙」をベースにやり取りが進められるからで、答弁書のペーパーレス化を図れば無駄な作業は激減すると思う。ホームページを見れば載っているような資料を要求され、紙にプリントアウトして議員会館まで届けるという、もう、そんなアナログな作業は止めるべき時期に来ています」

※本稿は、『事務次官という謎-霞が関の出世と人事』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


事務次官という謎-霞が関の出世と人事』(著:岸宣仁/中央公論新社)

事務次官、それは同期入省の中から三十数年をかけて選び抜かれたエリート中のエリート、誰もが一目置く「社長」の椅子だ。ところが近年、セクハラ等の不祥事で短命化が進み、その権威に影が差している。事務次官はどうあるべきか? 長年、大蔵省・財務省をはじめ霞が関を取材し尽くした生涯一記者ならではの、極上ネタが満載。