小林先生いわく「ため息をつくことは、体にとってとてもよいこと」だそうで――(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
ようやくコロナ禍があけようとしているなか、体調不良や孤独感がいつのまにか私たちをむしばんでいます。乱れがちになっている心と身体を整えるために大事になるのが、自律神経を整える毎日のちょっとした習慣。「自律神経が整うとすべてがうまくいく!」と語るのは、自律神経研究の名医であり、順天堂大学医学部教授の小林弘幸さん。その小林先生曰く「ため息をつくことは、体にとってはとてもよいこと」なのだそうで――。

上を向いて、気道をストレートに

うつむいて背中を丸めた姿勢をとると、途端に気道が狭くなります。

すると、呼吸が浅くなり、自律神経のバランスはますますみだれて悪くなってしまう。

さらに副交感神経の働きが下がるので、免疫をつかさどるリンパ球のなかのナチュラルキラーセルもどんどん減り、結果、気分が落ちこむだけでなく、風邪をひいたり、体調まで崩してしまうからです。

調子の悪いときほど、上を向きましょう。

上を向くと、気道がストレートになり、呼吸がゆっくり深くなります。

気道が広がると、自律神経が整い、心も体もすっきり落ちついた方向に向かってくれるのです。

「上を向いて歩こう、涙がこぼれないように」。わたしの一番好きな歌、いまも世界中で愛されている『上を向いて歩こう』という歌は、自律神経的にみても、本当にすばらしい真理を歌っている名曲といえます。

とはいえ、本当に落ちこんでつらいとき、すぐに「胸をはって上を向いて元気に歩きだす」というのは、なかなか難しいと思います。

でも、どんなに大変でも、時間がなくても、ちょっとあごを上げるくらいなら、誰でもできます。

ですから、わたしは「調子の悪いときほど、上を向いてください」とよくいっています。