同期入省の中から30数年をかけて選び抜かれたエリート中のエリートである事務次官。だが、近年、セクハラ等の不祥事で短命化が進み、その権威に影が差しているという。官界の異変は「裾野」でもみられ、ブラックな労働環境や、若手の退職者増加など厳しさを増している。そんな大きな曲がり角を迎えている霞が関を長年取材し続けているのは、経済ジャーナリストの岸宣仁さん。その岸さん「幹部官僚は部下から予想以上に厳しい見方をされている」と言いますが――。
幹部公務員は部下からどう見られているのか
霞が関の府省庁で事務次官に代表される幹部公務員が、部下からどのように見られているか、興味深い調査結果が公表されている。
大阪大学大学院法学研究科の北村亘教授ら六人の学者で構成する官僚意識調査研究会がまとめたもので、この種の調査はほぼ二〇年ぶりに実施された。
2019年秋に行われた調査は、財務、総務、経済産業、国土交通、厚生労働、文部科学の六省を対象とし、本省の課長級以上1412人に加え、課長補佐級についても中央調査社などのウェブページを通じて意見を聞いた。質問内容の四つの選択肢の中から答える方式で、200人余の対象者から回答が得られた。
質問総数は94問と多岐にわたるが、事務次官ら幹部が部下からどう見られているか、予想以上に厳しい見方をされている。