部下から批判的に見られる要因
話をわかりやすくするため、ここで言う「幹部」を「事務次官」に置き換えて分析を進めることとし、調査で代表を務めた北村教授に解説してもらった。その前提として、北村は
「次官に何を求めるかはいろいろあるが、次の二つの役割が重要」と断り、それらを挙げた。
一、政策助言者として政治家を支えるスタッフとしての役割
二、組織の管理者であるマネージャーとしての役割
初めに、政治家に対する政策助言者としては、近年、「政治主導」の名の下に大きく変化してきた現状を、北村は次のように説明した。
「省内に並列してある各局を統合する立場として、かつて次官の役割は極めて大きかった。ところが、政治主導の声が高まるにつれ、政務三役を中心に政治家が政策をまとめるようになる。本来、政策助言者のトップである次官も、そうした流れは受け入れざるを得ず、政治家の言う通り動こうという姿勢を強めているように見える。むしろ政策を語ると危ないと考え、省内で明確に自分の思いを伝えない可能性が強まり、そういうトップのあり方が下からは批判的に見られる傾向にあるということではないですか」