広がる心配文化

「心配です」と言われるようになった事象はどんどん増えている。こうした心配文化を反映するように、『ガーディアン』という高級紙では、「Should I worry?(心配すべきでしょうか)」という連載すら始まった。糖分の摂取から始まり、睡眠不足、朝食を抜くこと、など、次から次へと心配の種が取り上げられているが、最近とみに語られることが増えている事柄が登場した。

長時間座ること、である。記事によれば、これが「新たな喫煙」と言われるぐらい健康を脅やかす懸念材料になっているらしいのだ。

これはオフィスで働いている人、配送や運転の仕事をしている人、学生、ライターなど、かなり多くの人々に影響をおよぼす重大事だ。なんでもかんでも健康に悪いと言って人を不安に陥れる21世紀ならではの言いがかり……、とも言いきれないのは、英国では1950年代にはすでにこれに関する研究が行われていたのだという。「二階建ての赤いバス」として有名なダブルデッカーバスの運転手は、1日中バスの中を歩き回る車掌たちに比べると、心臓発作に見舞われる確率が2倍近くあったそうだ。また、2013年に発表された調査分析でも、「1日に座っている時間の総量が多いほど、すべての死因による死のリスクが高まる」という結果が出ているらしい。