そもそも歌は好きじゃなかった

N)そうですね、ヴォーカリストの方はみんな若い!ところで歌を歌おうと思ったのはいつ頃からですか?

J)17歳です。でもそもそも歌は好きじゃなかったんです。

 

N)本当ですか!?

J)自分で歌うことになるとは思っていませんでした。ましてや昔って、カラオケもないし…。歌謡曲を口ずさむこともなかったし、本当に歌ったことなかった。あんまり音楽自体好きじゃないって感じ。

N)歌おうって思ったキッカケはなんだったんですか。

J)実は高校でつまずいて。私立の高校に行ってたんですけど、辞めたんですよね。「嫌だ!こんな軍隊生活みたい」と思って。その高校を辞めたんですが、何をしたいのかがまだなくて。17歳ですからね。でも、やっぱり高校の卒業の資格は取りたいと思って、通信高校に行きつつバイトしてたんですけど、やっぱ鬱々するわけですよ。
何もすることない。私、将来、生きていけるんかしら?って思ったんです。そうしたら幼なじみの子が「ロックコンサートを見に行かない?」って言ってくれて。それがエアロスミスだったんですよ。自分が初めてロックを見たのはエアロスミス。
良いのに行きました。(笑)

それは今でも語り草で、武道館にも初めていったし。武道館の3階のほんとに一番上の席で。その当時のライブって照明の光量がないからステージが暗いんですよね。
なんか音はエネルギッシュだけど、友達に「どの人がエアロって?」(笑)。何の知識もなくて。 そしてアンコールの“Toys in the Attic”っていう曲で「うわー!」って歓声が上がって、バックライトが点いて会場全体が見えたんですよ。そしたら、武道館が超満員だったんです。もうそれまでは暗くて分かんない。昔はみんな椅子に座って見てて、アンコールあたりで盛り上がって立ち上がるんですよ。それを見たときにステージ側でこれを見てみたいって思ったんです。それがキッカケで「バンドでやってこう!」って。

N)そうなんですね!

J)単純ですけど、本当にやることが見つかって良かった。ミュージシャンって音楽学校に行けばなれるものでもないし、マニュアルがないからこそやれると思った。
その頃の鬱々した気持ちが、バンドを始めたことにより、いきなり世界が広がりましたね。最初はベースとか楽器をやってたんですけど、その内、コーラスをやってるときに、幼なじみの子が「JILLの声は抜けるから、歌った方がいいよ」って言ってくれて。それで家でレコード聴きながら合わせて歌い出したら気持ちよかったんですよね。
歌い出してからは、もうそこで感情を全部全開に出せるっていうのかな。そのうち歌詞も書くようになって自分の言いたい事を歌うようになったら、これ以上に発散する場所がないなと思いました。いい職業を選んだなと思います。(笑)