「年甲斐もない人」が羨ましがられる時代になっている
80歳過ぎても若い人と同じファッションを楽しむ人がいます。
女性でも男性でも珍しくありません。
髪を染めたりカジュアルなバッグを肩に掛けたり、派手なサングラスをつけている高齢者がいたとしても、それほど驚かれたりしませんし、まして変な目で見られることもありません。
いまはそういう時代になっています。
一昔前は違いました。
「変な格好してるな」と冷たい視線が向けられました。
「恥ずかしくないのかね」と軽蔑する人さえいました。
ところがそういう高齢者が珍しくなくなってくると、今度は「わたしもやってみようかな」と思います。
なぜなら、よく似合っているからです。
たとえば古い友人と久しぶりに会ったらジーンズに真っ赤なポロシャツ、おまけにサングラスまでしています。
「同級生だからもういい齢だ。でも案外、似合うもんだな。少し腹が出ているけどまだジーンズだって穿けるじゃないか」
友人は若々しい笑顔を浮かべて「この夏はキャンプしながら北海道を車で一周したよ、面白かったし、わたしより年上の人がたくさんいたよ」と嬉しそうです。
そういう話を聞くと、齢を意識して地味な格好をしている自分が恥ずかしくなります。どう見ても自分のほうが年寄り臭くて精彩もないからです。
つまり、かつてでしたら「年甲斐もない」と軽蔑されたような人のほうが、自由に楽しく生きていることに気がついてしまいます。軽蔑どころか羨ましくなるのです。