筆跡診断で着目するのは文字の癖
小林 人が文字を書くことは遺伝子に組み込まれているといわれていますが、あらためて考えてみると神秘的ですね。これは私の個人的な見解ですが、文字の上手い下手は、走るのが速い人と遅い人がいるのと同様に遺伝的な要素が大きいのではないでしょうか。文字の上手い人は幼いころから上手いですよね。
石崎 そうですね。ただし、下手であっても練習することによって、ある程度までは上達すると思います。
小林 私の場合は父が達筆なのです。92歳になるいまも、お寺から卒塔婆の文字を書いてほしいと依頼を受けてやっているほどで。プラス、母の英才教育もありました。あれだけ口うるさく「ゆっくりと丁寧に!」と言われたら、否が応でも集中します。集中しないとバランスのいい文字が書けないのだということを学びました。
石崎 文字はバランスが命ですから。
小林 その一方で、文字は魂を込めて書くことが大切なのかなという気もするのです。思いを込めて書けば、汚い文字でも立派に見えるというか……。筆跡診断においては、文字が綺麗かどうかは関係ないのではありませんか?
石崎 そうなのです。筆跡を診るうえで着目するのは、先ほど先生がおっしゃっていたように、筆圧、それからハネるべきところをハネているか、閉じるべきところを閉じているかといった、その人の文字の癖です。
小林 無意識に書いている文字に心理模様が表れるとしたら、ちょっと怖いような気もしますが、自分を見つめ直すきっかけになるという意味で有意義なことですね。
※本稿は、『気がつくと自律神経が整う! メンタルアップ文字トレ』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
『気がつくと自律神経が整う! メンタルアップ文字トレ』(著:石崎白龍、監修:小林弘幸/徳間書店)
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