「普段にこそ、お気に入りの良いものを使いたい。毎日使うなら、5000円でも高くないなと思います」(撮影:馬場わかな/写真提供:すばる舎)
古い団地でひとり暮らしをする様子をYouTubeで配信し、登録者数15万人を超える人気となっている多良美智子さん。昭和9年に長崎で8人きょうだいの7人目に生まれ、高校生の頃から70年、ずっと料理をしてきたという多良さん。65歳の時に調理師学校に通い、調理師免許も取得したといいます。そんな食べること、料理をすることが大好きな多良さんが、毎日おいしく食事を食べられるのは、器の力も大きいそうで――。

器が大好き。「ピンときた」ものをこつこつ集めてきました

毎日の食卓に並ぶのは、どこにでもある普通のおかずです。食欲がないなと思うこともなく食べられるのは、器の力も大きいと思います。

生まれ育った長崎は、有田、伊万里など陶器の産地の近くですし、早くに亡くなった母、それに姉たちも器が好きだったので、私も自然に器が好きになりました。とくに、母親代わりだった4番目の姉、8歳下の妹、姪(3番目の姉の娘)、そして私の4人は、趣味が似ており、よく連れ立って全国各地の骨董市や陶器市に行きました。

長男が栃木に住んでいるので、益子の陶器市にもよく行きました。シンプルな益子焼は、私の持っている和の器たちにも合うので、いくつか持っています。

器との出会いは、一期一会。「これ、いいな」とピンときたものは、だいたい買います。迷うことが少ないので、決断は早いです。でも、ピンとこなければ買いません。好きなものなので、妥協はしたくありません。

高価なものはなく、日常使えるような1枚2000〜3000円くらいのものが中心。30〜40年使っているものもあるので、結果的に安い買い物でした。

普段使いの器。真ん中の青い器は、何を盛ってもおいしそうに見えてお気に入り。左下は益子焼のお茶碗。隣は京都で購入した豆皿と、金沢で買った九谷焼(写真提供:すばる舎)