誰でも情報を発信できる時代だからこそ、創作の質に悩む方も多いのではないでしょうか。『バズる文章教室』で話題の書評家・三宅香帆さんいわく、文章のプロとアマチュアの違いは、「グッとくる名場面を書けるかどうか」とのこと。数多ある作品の中から、勝てる”小説に必須な名場面の重要性とは――。(撮影◎本社・奥西義和)
名場面の重要性
さて、ここからは名場面の理論について語らせてください。
私は普段、書評を書く仕事をしています。すると書評の連載などで「さて、今月はどの本を扱おうか」と考えるわけです。その時、書評する本をどうやって決めているかというと――もちろん面白かった本を選びたいのは大前提ですが、単純に面白さといってもいろんな尺度があります。
「面白かった本」というだけで書評する本を選ぶのは意外と難しい。じゃあどうやって書評する本を決めるか? 何があったら「この本、書評を書きたい!」と思う決め手になるのか?
私の場合、それは、「良かった場面」があるかどうかだと思います。