名場面に不可欠なふたつの要素

感想が書きやすい名場面。

それは1)予想外の展開、(2)盛り上げ演出、のふたつの要素があることです。つまり、「非・予定調和なあらすじ」と「気分を盛り上げる演出」の双方があるかどうか、ということ。

まず、予想外の展開が来ることで、「おお、そう来たか〜!」と読者はグッとくるのです。もちろんキャラクターに合ってないとか、違和感があるとか、そういう場合はむしろ物語に入り込めない原因になってしまうので、匙(さじ)加減が難しいところですが。

しかし「おお、そう来たか〜!」と思えるような場面があること、つまり予定調和じゃない動きに、私たちはリアリティを感じるのです。

なぜなら予定調和じゃないということは、 惹(ひ)き付けられるということだから。

読者だってばかじゃありません。なんとなく次のシーンではこう来るんだろうな、という物語の予想というのは立てているものです。

しかしその予想をさらっと裏切られた時、心臓にずきゅんと突き刺さるものがあります。人間はたぶん予定調和なあらすじを想像する力があって、しかしそこを外されることで、印象的なシーンになる。

予想外の展開が来ることで読者はグッとくる(写真提供:Photo AC)