日本の手のりスズメ

その後、日本のスズメでも人の手から餌を食べる事例が現れた。

1991年6月、横浜公園でスズメが手のりで餌を食べるというニュースが流れた。 餌付(えづ)けによって徐々にスズメを安心させ、スズメとの距離を縮め、ついに手のりに成功したのである(高井和子著、風川恭子絵 1994『スズメが手にのった! 』あかね書房)。日本のスズメも人の接し方によっては「手のり」になることが証明された。

2004年10月、上野不忍池のほとりで手のりスズメを観察した。年配の男性が立ち止まり、そっと手を差し出す。池のほとりの木の枝に止まっていた数十羽のスズメが、一斉に舞い降りて手に乗って餌を食べる。

上野不忍池の手のりスズメ(2016年7月6日)(写真・唐沢孝一)

フライトディスタンスは0mである。不忍池におけるスズメと人の関係は、ロンドンの公園で見た光景と重なりあってくる。なお、ロンドンのイエスズメは、最近は公園から姿を消してしまい、手のりスズメは観察できないという。