短鎖脂肪酸は健康の万能薬
こうした症状に加え、悪玉菌は深刻な疾患の原因にもなるため、やっかいです。
「免疫機能を低下させるので、花粉症などのアレルギーになりやすく、ウイルスや細菌にも感染しやすくなります。さらに、悪玉菌の出す毒素は、高血圧、動脈硬化、糖尿病の引き金になるほか、大腸がんの原因となる慢性炎症を誘引することもわかってきました」
悪玉菌の増殖を防ぐには、腸内の善玉菌を増やすことが肝心。
「善玉菌は、食物に含まれている水溶性食物繊維を主なエサにして増え、代謝物質として短鎖脂肪酸を作り出します。この短鎖脂肪酸が私たちの体にいろいろなよい働きをもたらすのです」
短鎖脂肪酸が増えれば腸内は弱酸性になり、酸性を嫌う悪玉菌が減る効果が。
「しかも短鎖脂肪酸には、腸内にその7割が存在するといわれる免疫細胞を活性化させ、免疫機能を正常に整える働きがあります。セロトニンの分泌を促し、メンタルを安定させる効果も。加えて、糖の代謝に関わるGLP‐1(ジーエルピーワン)というホルモンの分泌を促すスイッチになっていることもわかってきました。つまり、善玉菌が増えると糖の代謝を促進し、太りにくい体になって肥満の予防にもつながるのです」