(『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』より)
“人生100年時代のモデル”として中国新聞の連載が話題になった哲代おばあちゃん。今年の4月29日で103歳を迎えられました。広島県尾道市の山あいの町で、元気にひとり暮らしを謳歌する様子は、自分らしくご機嫌にいきるヒントがいっぱい。日記形式の連載より、ある冬の日の生活を覗いてみると、仲よしクラブの仲間たちと過ごす時間に人生を楽しく過ごす秘訣があるようで――。

2021年2月、先々の楽しみが張り合い

1日
毎日忙しく動いているので、台所のカレンダーに予定を書き込んでいます。カレンダーを眺めると、そこで会える友達の顔が思い浮かびます。先々の楽しみを用意して、きょうを元気に迎えるというわけです。

毎週月曜は「仲よしクラブ」の集まりがあります。地区のおばあさんたちが大正琴を練習するんです。レパートリーは40曲ほどですかな。「荒城の月」を弾きましょうか。ええ音色でしょう。

でもね、練習なんてそっちのけの日も多いんでございます。ストーブを囲んでおしゃべりして、笑うて。これが楽しみなんです。ギャーギャーとおしゃべりした後はみんな意気揚々と帰るんです。

仲よしクラブは1973年に誕生しました。50年の歴史がある、とても大切な会なんです。

仲よしクラブが生まれたきっかけは、農家のしゅうとめたちが、ぼんやりと田んぼの畦に座り込むようになったことでした。その頃農機具が急速に普及し、孫の世話も幼稚園に任せるようになって、空いた時間をどう過ごせばいいか途方に暮れていたんですね。