●老人性うつと認知症の症状の違い

朝日を浴びて散歩し、外出先でおしゃべりを

認知症の進行を食い止め、老人性うつを再発させないために、ひいては、脳の健康を維持するためにも重要なのが「食事」「睡眠」「運動」の3つ。

脳の健康には、栄養を十分に、バランスよく摂ることが必要です。特に積極的に摂るべきはたんぱく質で、なかでも肉がおすすめ。赤身に多く含まれる必須アミノ酸の1つ「トリプトファン」はセロトニンの原料になります。甘い物が好きなら、それもOK。好物を食べるという快体験は、幸福感を高め、免疫力を上げる効果があるからです。

睡眠も大切。脳にたまった老廃物は眠っている間に排出されるので、睡眠が不足するとアルツハイマー病の原因となるとされる異常なたんぱく質の蓄積が進むことがわかっています。6~7時間の睡眠は確保しましょう。

ちなみに、良い睡眠をとるためには、朝日を浴びること。朝、太陽光を浴びるとセロトニンが分泌され、それを原料に睡眠ホルモン「メラトニン」が作られるからです。

適度な運動も効果的。私は毎朝30分の散歩を実践しています。上半身も意識して歩けば、脚だけでなく腕や胸の筋肉の神経が刺激され、脳も活性化します。70代になると、筋肉量は20代の半分程度に減りますから、転倒や寝たきり生活を防ぐうえでも運動は不可欠です。

最後に、人づきあいは最高の脳トレになります。相手の言葉を理解し、瞬時に適切な返事をすることは、脳のさまざまな部位を使う高度な知的作業です。社会的接点が多いほど認知症のリスクが低いというデータもあります。

人と会話して孤独を解消することは、うつ予防にもなる。できるだけ外に出て、人と会って話しましょう。日々を楽しく過ごすことは、脳を老けさせない最良の方法です。