世界的なロレックス不足

いままで述べてきたようなことは、何も日本だけの事情ではない。全世界的にロレックスは不足していて、そして買えない。

だから、ロレックスを買いに海外に出たり、スイスに行ったりすればいいのかと考えてみる。それが無駄とはいわないまでも、あてのある話ではない。何よりも日本よりむしろ過熱している国があるのだ。その代表格がアメリカである。

繰り返しになるが、現在の「コスモグラフ デイトナ」の人気はそもそもアメリカから始まったものだといっていい。

ポール・ニューマンは、アメリカで圧倒的な人気がある俳優であり、その後、政治活動家としても声望を高め、起業家で慈善家として羨望と尊敬を一身に集めた人物である。

アメリカ人にとってポール・ニューマンは、もはやひとつの偶像であり、彼が愛した腕時計ということで、「デイトナ」という偶像がまた成立した。

ポール・ニューマン自身の愛用品だからといって、20億円を超える価格で落札されることなど、アメリカでの人気なくしてはあり得ない話だろう。

※本稿は、『ロレックスが買えない。』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。


ロレックスが買えない。』(著:並木浩一/CCCメディアハウス)

男にとって人気ブランドの超定番といえば「ロレックス」。2023年のいま、ほぼすべての人気モデルが店頭から消えた。いったい、どこに消えたのか。その背景とはいったい? そして、お目当てのロレックスを購入したい人々にとって、納得できる代案は? ロレックスを買いたい人、買えない人。いまのところ買う機会はないが関心のある人――にとって必読の書です。