世界中で愛され続け、腕時計の代名詞的な存在の「ロレックス」が、コロナ禍以降、店頭から消えた。そして「ロレックスマラソン」という新たな言葉が誕生した。これは「ロレックス」を求めて探し回る人々の行動のことである。「ロレックス」が消えた背景とは…。国内外の時計界を取材し、高級腕時計の書き手として第一線で活躍している並木浩一さんいわく「ロレックスはひとつとして外れがなく、必ず薦めることができる腕時計」だそうで――。
コロナが到来して、店頭からロレックスが消えた
ロレックスが買えない。
いま腕時計の世界で起きている事象は、この言葉に象徴されていると思う。もちろんロレックスの一部の人気モデルの品薄は、いまに始まったことではない。
ただし現在、それが全モデルに広がり、全世界に共通する。洪水が大地を覆い隠すように、何もみえなくなってしまったのである。いったい全体、何が起きたのか。コロナ禍を境に、腕時計の世界も急変している。
ロレックスはいうまでもなくよい腕時計だ。時計のことを30年近く書き続けているジャーナリストとしていわせてもらえれば、ロレックスはひとつとして外れがなく、必ず薦めることができる腕時計なのである。
それが買えないというこの状況下で、どうしたらいいのだろうか?
実はロレックスでは、以前からその前兆ともいえる特有の現象が起きていた。というのもロレックスは、もともと“慢性的な品薄”が一部のモデルを中心にずっと起こっていたブランドだ。