現在、日本人の約3割が65歳以上の高齢者です。高齢者は「生産しないしお金も使わない」「社会の負担となる存在」という世間の声を聞くことも少なくありません。そんななか、「元気で自立し消費者としても大きな存在となっているのが今の高齢層です」と語るのは、高齢者専門の精神科医である和田秀樹先生。その和田先生「自分自身のためにも、そして子どものためにも、後の世代に資産を残す必要はない」と言っていて――。
お金は自分の楽しみのために使う
有り体に言ってしまうと、お金を使えば使うほど幸福感が高まります。
日本という資本主義社会に生きているのですから、これは当然といえば当然です。
お金を使っている人ほど周囲から大切にされますし、「あいつは金を出さない」と思われたら人が離れていきます。ケチな人の周囲には人は集まってこないものです。
子どもたちでさえ、どうせ財産を相続できるのだから、今のうちは寄りつかないというケースは珍しくありません。
お金を使うと周囲の人から大切にされるので、自己肯定感も高まります。ストレスも軽減できるので、認知症やうつ病の予防にもなりそうです。
国内でも海外でもいいのですが、行ったことのない場所へ旅行に出かけたり、入ったことのない名店で美味しいものを食べたりすることでも、前頭葉が刺激されて活性化します。
高齢になるほど、より強い刺激が必要になるので、そうやって感動が得られるなら脳の若さを保つ意味でも理にかなっています。
健康やアンチエイジングにお金を使い、あちらこちらに遊びに出かければ、それだけ幸福感が高まります。孫の教育や、家族での思い出づくりの旅行のためにお金を使えば、家族から大切にされるはずです。
基本的にお金は自分の楽しみのために使いましょう。結果としてそれが、認知症やうつ病を防ぐことにもつながります。